2019年1月21日月曜日

ずっと一緒。

眠ろうとしたら、風が唸っていた。
満月の準備でもしているのだろうか?
獅子の咆哮のようだった。

珍しく、隣人は静かだった。

あるいは、風が静かでも、私は眠れなかったかもしれない。

てりおすとのお別れが、また急に悲しく思えた。
泣けてきた。
風が私が泣いているのを隠してくれた。

もうすぐ、連絡が来て、永遠にお別れなのだ。
もう、乗れない。
もし今後大金持ちになったとしても、あの個体には乗れないのだ。

やっぱり、最後にどこか一緒に出掛けよう。
そう思った。

でも、行きたい場所を思いつけなかった。
てりおすはもう高齢車だから、行ける場所が限られている。
立駐は、ダメ。坂道も、ダメ。遠いところもダメ。
近所の平坦なエリアなら大丈夫そう。

てりおすと出かけた、いろいろなところを思い出した。
ありがとう、てりおす。
何年も、私を助けてくれたのだ。

これからも一緒に暮らせると思っていた。
普通に何の疑いも無くそう思っていた。
でも、もう、お別れ・・・。

楽しいはずの運転。
それがずっとストレスになっていたことに気付いてしまったから。
私は、究極の白と黒を引き受けていたのだ。

運転は確かに楽しかった。
いろんなところに行けた。
時間を気にしないで行けた。
重いもの、大きなものも楽々だった。
雨の日も、風の日も平気だった。

でも・・・

これからも、ずっと一緒だよ・・・
駐車場から、そんな声が聞こえた気がした。

てりおすと机上旅行をしようかな?
ふと、そう思った。

もう、目に見えなくなっても、触れられなくなっても、
クラッチを繋げなくなっても、いつだって一緒に
どこにだって行ける・・・事故にも遭わない。

てりおすは、移動の神様の化身なのかもしれない。
私はこれからも自由だ。
ますます、自由になる。

屋久島の旅の話は本物だけれど
その後、ふたりで旅を続ける物語を書こうかしら?
荒唐無稽の、珍道中。

いつか、ガレージ付きの家で暮らす約束をしたのに
それを果たせなかったのが心残りだ。

広大な私有地で、交通事故とか関係なく
思いっきりふたりで走り回りたい・・・

私は、そのうち眠ってしまった。